彼女』を探し、男は彷徨う
それは誰の記憶なのだろう
「ねぇ、何故変わってしまったの・・・?
あんなにも――」
その問いかけはもうすでに届かない。
気がつけば傍にいた。いつも一緒だった。
いつからここにいるのかもわからない
隔離された部屋の中の静寂
そこにいたのは1組の男女
男はうつぶせに倒れていた。
その少女の手に握られていたのは、ナイフだった。
何が変わってしまったのだろう
記憶にない場所
自分は誰
どうしてここにいるのか
わからない
彼が私に言った言葉が、思い出せない
どうして・・・
その記憶が改竄されていたとしたら
彼女は彼を愛していたのだろうか
「さぁ、――へ還りましょう、『お兄様』」
月明かりの差し込む暗闇の中、彼女は笑っていた